投資家たちは悪党だと言っているのではない。私の親しい友人の中にもベンチャーキャピタリスト(VC)は何人かいる。ただ、多くの創業者は、優れたVCとは常に投資家の利益を最優先に考えるもので、その利益はベンチャーの利益、ましてや創業者の利益と必ずしも一致しない、ということを理解していないということだ。
不幸にも、この不一致はいつも、追加融資を必要とする、あるいは創業会社が期待に沿えていない(あるいはその両方)ときにだけ露呈する。新たな投資の基本方針は創業者よりもVCに極端に有利かもしれないし、大抵の場合はそのベンチャーが他の投資家の利益を得られなければ投資家からの追加融資は消滅する。
その時点で、創業者はしばしば信用の裏切りと思しきものに不意打ちを喰らわされることになるのだが、大抵は単に忠誠関係の誤解に過ぎないのだ。
投資家は多くの有用なアドバイスを授けてくれることがある。但し、常に心に留めておくべきこととして、創業者としての義務の矛先は特定の投資家にだけ向けるのではなく、全出資者に向けておかねばならない。会社のことを一番大切に思っているのは他でもない創業者であるあなた自身なわけで、出資者の利益に気を配るのは創業者の仕事であり、投資家の仕事ではないのだ。
多くの人がこの2つの用語を区別なく使っているが、根本的なところが違う。私はその両方の経験がある。それぞれにメリットがあり、その違いが重要なのだ。
規模の違いではなく、それは重点の置きどころに関係している。
フリーランスは、プログラミング、ウェブデザイン、コンサルティングといった提供するサービスそのものに直接対価が支払われるもので、裏を返せば、働かないと稼げない。最大の関心事は、自分や自分のチームのために仕事を得ること、だ。
アントレプレナーの場合、拡張性のあるシステムを構築することに重点を置く。仕事のほとんどは直接的な収益を生むものではない。収益が生み出され始めた時点で、最大の関心事は、いかにその工程から自分が外れるか、ということになる。
ディスラプティブ技術の日本市場への参入は、少々厄介だ。最近出会った米国で成功を収めるスタートアップ会社の現地代理人は、日本で製品を販売開始する際には、製品名を変え、見た目や感触も変え、現地のインフラを使って、日本のチームで管理させる必要があるのだと本社を説得していた。
これまで何度もこのような場面を見てきている。現地代理人は喜んで親会社の資金を使い続ける。が、一旦事業が真に軌道に乗ると、現地代理人がそのブランドの所有権を得、技術をそっくりそのまま模造して競合サービスを始めてしまうのだ。
規模の小さい外資系会社は、日本で知的財産を全く強化できない。
絶対に自分のブランドを手放してはダメだ!