日本人のリスク回避の説明として、その昔富士通勤務時代の部門長がしてくれた話がこれまでに耳にした中で最も良かったように思う。彼の持論はこうだ:
「アメリカでも日本でもポイント制が昇進の基盤にある。最も多くポイントを稼いだ者が昇進する。但し、アメリカの場合は0(ゼロ)から正解ごとに加点され、日本の場合は0から間違うたびに減点される、という点が違うのだ。」
1週間にわたって国内数カ所の都市で開催されたスタートアップイベントに参加する中、人々が物語を語って言い訳をする時間の長さにイライラさせられた。その歴史ゆえになぜある特定の都市が特にスタートアップに適している(適さない)か、や、どのようにして今日の課題が国民性あるいは地域性の一面の結果として起こるべくして起こったか、といった話の数々を聞いた。
多くの人にとって真の問題について詳しく議論するのは気分が良くないことで、大抵は明らかな解決策を見出せないことはよく理解できる。そういった物語は間違ってさえいない。なぜなら、ほとんどの場合どうやっても検証できないのだから。
問題は、自分たちの問題について互いに話す物語が言い訳となって、実用的な解決策についての話をすることを避けることだ。そうなれば言い訳以外の何モノでもない。
話すことは簡単で心地良いけれど時間の無駄でしかない。物語では何の問題も解決されないのだ。